Original Pirate Material/The Streets

ゼロ年代を代表するMCガラージの伝説的1stアルバムです。
ゼロ年代前半に絞れば、本作は間違いなくポップミュージック・
シーンの最重要アルバムの一つに選ばれる作品です。

実際、本作リリース時はそれくらいの衝撃がありましたからね。
米国産のヒップホップトラックとは全く異なるスピードガラージ/2ステップ色満載のトラックは、英国訛り全開でまくしたてるラップと相まって非常にミニマルな体感があります。
また、当時ヒップホップのリリックはマッチョイズムとギャングスタ思想に溢れていたのですが、ストリーツのリリックは、ストリーツことマイク・スキナーの英国での倦怠と焦燥の日常をリアルに描いた詩的なものでした。
これらの新しいヒップホップスタイルを引っさげた本作は、当時のUKガラージからは強烈に歓迎されました。「UKガラージのディラン」というあだ名までついてしまうその寵児っぷりったら、もはや英雄レベルの賛辞を受けました。本当にそれくらい新しかったんですね。日本の各音楽誌でも特集だらけでした。


スタイルとしての新しさはこのように衝撃の大きなものだったのですが、ストリーツを語る上では、詞の表現の革新性こそが欠かせない要素です。
リスナーの耳元で直接語りかけるようで、かつ非常に写実的です。マイク・スキナーの日記をそのまま読まれてるような感覚があります。
まあ至るところで本人も語っていますが、実際に本人に起こった事・過ごした日々を書いています。
そのリアルな出来事を、当時の英国青年層のリアルな生活・心情をシニカルかつユーモアたっぷりの舌で代弁してみせたその作詞能力こそが、ストリーツがUKガラージにおいて最重要と言われ、時代の顔となった所以なのです。


もう一杯ラガーを煽りたい。応援してるクラブチームが負けて最悪だ。今からクラブに行って、いつものあいつらとガール引き込んで気持ちよくなりたい...。
こんな倦怠と焦燥にまみれた英国のモラトリアム青年の毎日を描いているんですが、私たち他国の人間からみても強く英国の生活と風景を想起させますUKでリリースされた時は大きな共感を呼んだであろうことがわかる、素晴らしいリリックです。もちろん英国ですので、ドラッグ描写も入ります。しかしそこには恍惚感やダウンというよりは描かれる日常を構成する要素の一つとして、ただ日常に存在するといった印象です。
そのような詞を小節いっぱいに詰め込むかというほど性急なフロウでまくしたてるラップも、当時でストリーツ独自のものであったでしょう。


本作以降3作のアルバムを出したストリーツですが、時代感とのマッチやサウンドの革新性を考えると本作はマストと言わざるを得ません。
8年前の作品ですが、いま聴いても色あせないサウンドなので是非聴いてみてください。かならず歌詞カードは読んでくださいね!

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2010年9月

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